ネリコ日記

365日にっき

『夢の守り人』上橋菜穂子

夢の守り人 (新潮文庫)

夢の守り人 (新潮文庫)

人の夢を糧とする異界の“花”に囚われ、人鬼と化したタンダ。女用心棒バルサは幼な馴染を救うため、命を賭ける。心の絆は“花”の魔力に打ち克てるのか?開花の時を迎えた“花”は、その力を増していく。不可思議な歌で人の心をとろけさせる放浪の歌い手ユグノの正体は?そして、今明かされる大呪術師トロガイの秘められた過去とは?いよいよ緊迫度を増すシリーズ第3弾。

面白かったー。甘い夢に誘われて夢の中に閉じ込められた人たちを助けるお話。現実世界ではないのでバルサではなくトロガイやタンダが大活躍でした。閉じ込められた人たちの中にはチャグムの姿も。(将来なりたくもない帝になるしか選択肢がないことに絶望していたところを夢に誘われてしまいます。)チャグムが見た甘い夢というのが、バルサたちと過ごした日々だったというので涙腺が緩む。精霊の守り人で宮に戻ることになったチャグムにバルサが、「帝になりたくないなら命がけで連れ出してやる」と言うのですが、それをチャグムは断り、自ら帝になり意思を固め、バルサたちと別れたのに、俺だって本当はバルサたちと行きたかったよーー!という想いがひしひし伝わってきて、でもそれをずっと心の奥にしまって我慢していた幼心がわかるだけに愛おしかった。その後どうにか夢から目覚めたチャグムとバルサたちは再開を果たすのですが、そこで涙腺崩壊。チャグムが、バルサーーー!と嬉しそうに走ってくる姿、抱きとめた時に感じられた成長の描写で涙ボロボロでした。

チャグム話ばかりになりましたが、トロガイの呪術師になった経緯やバルサのタンダへの想いなど、他にも読みごたえ要素もりもりでおすすめです。